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エルピーダ

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社長として、企業を経営するということはどういうことなのだろうか。現在の世界の市場情勢の中で、その一つの答えを世に示そうとしているのが「エルピーダメモリ社」の坂本社長と言えるかもしれない。同社は、現在3四半期連続で営業赤字となる状況にもかかわらず、DRAMの合弁工場を5400億円を投じ中国に建設すると8/6に発表した。2010年の世界シェア奪還を目標に、サムスンを追撃するための計画を加速しているのだ。現在のDRAMの市場シェアは、1位 韓国サムスン電子 30.5%、2位 韓国ハイニックス半導体 18.6%、3位 日本エルピーダメモリ 14.4%、4位 米マイクロン・テクノロジー 11.4%、5位 独キマンダ 10.4% となっている。 坂本社長は、日体大出身で業界では異端児的な存在。日本テキサス・インストロメンツに入社後に副社長まで上り詰め、台湾UMCの日本法人トップ等を歴任している。一方、エルピーダ社は日立とNECが赤字続きだったDRAM事業を統合して発足した会社だ。会社自体は、清算する直前にまで追い込まれた2002年11月に、「再建請負人」と称される坂本社長が就任し見事に再建させた。 かつては、DRAM市場の8割を占めた日本の半導体メーカーだが、重い大企業病が悪化し投資判断等の遅れから日本に学んだ韓国メーカーが今では世界の王者として君臨している。だが、坂本社長は市場の状況に併せた柔軟な経営で、台湾の「力晶」やドイツの「キマンダ」等と提携して急成長を果たした。 大きな組織になればなるほど、そのトップに立つ者はどんな(俗に言う)"優秀"な人物でも、様々な状況にがんじがらめにされて何も出来ないままで終わる。しかし、それは同時に、企業全体を忍び寄る致命的な危機にわざわざさらけ出していることになる。“ヤバイ”と気づいた時には確実に手遅れなのだ。。。まるでぬるま湯からゆでられる“茹で蛙”のように。。。